作品概要
日本の平和研究の原点の一つである「沖縄問題」。課題は「平和と自立」の実現とされ、これまでも「平和」については日米安保体制と米軍基地、「自立」については政治制度の変更を視野に入れて議論されてきた。本号では、政治・憲法・歴史・社会学それぞれの視点で「自立」が問われ、日米軍事戦略、沖縄被爆者をテーマにし「平和」が語られる。先人が残してきた研究の蓄積と同様に、「沖縄問題」をめぐる平和研究のマイルストーンとなるであろう一冊。
目次など
巻頭言
平和研究と「沖縄問題」
―三たび平和と自立について(小松 寛)
●依頼論文
1 日本の政治の根幹をなす沖縄への暴力
―国際人権法に基づく人権と自己決定権の沖縄からの訴え 島袋 純
2 琉球/沖縄差別の根底にあるものは何か
―憲法の視点を交えて 髙良沙哉
3 沖縄をめぐる依存/自立の議論を再設定するための歴史的文脈
―1950~60年代の政治社会状況を中心に 鳥山 淳
4 沖縄のヤンキーの若者と地元
―建設業と製造業の違いに着目して 打越正行
●投稿論文
5 普天間飛行場の返還を阻む構造的要因の考察
―日米軍事戦略の視点から 上杉勇司
6 沖縄の被爆者問題の再考察
―現代における証言の意味 桐谷多恵子
7 構造的暴力論から「緩慢な暴力」論へ
―惑星平和学に向けた時空認識の刷新に向けて 前田幸男
8 胎児性水俣病世代の未認定患者への補償と福祉 永野いつ香
●書評
憲法が守るものと基地が守るもの 石田 淳
古関彰一・豊下楢彦『沖縄 憲法なき戦後──講和条約三条と日本の安全保障』みすず書房,
2018年
沖縄に基地があることは「当たり前」なのか 波照間 陽
林博史『沖縄からの本土爆撃──米軍出撃基地の誕生』吉川弘文館,2018年
吉次公介『日米安保体制史』岩波書店,2018年
屋良朝博,川名晋史,齊藤孝祐,野添文彬,山本章子『沖縄と海兵隊──駐留の歴史的展開』
旬報社,2016年
SUMMARY
編集後記 熊本博之
日本平和学会設立趣意書
日本平和学会第24期役員
日本平和学会会則