日本平和学会2018年度秋季研究集会
平和教育分科会 報告レジュメ
平和教育プロジェクト委員会の成果と理論化に向けて
平和教育プロジェクト委員長
高部優子
1.はじめに
平和教育について集中的、継続的に学会活動を展開していくために、2014年に「平和教育プロジェクト委員会」が立ち上げられた。主な意図は学会開催時に、小中高教師等などを含めた学会参加者を対象とし、具体的・実践的な平和教育に関するワークショップ等の提供(学会の知の共有)を企画・運営で、また、研究や他機関との連携も視野に入れていた。(平和学会ニューズレター2014年1号、2号より)
2.平和教育プロジェクト委員会の6年
(1)21期
①2014年6月22日(神奈川大学)「ワークショップという形態を用いて平和教育につい
て、なんでもできるか、できないか」
②2014年11月8日(鹿児島大学)「平和な関係性をつくろう!〜新しい平和教育のあり
方を一緒に模索する〜」
③2015年7月19日(広島大学)「ヒロシマをめぐる<コンフリクト>」
④2015年11月28日(琉球大学)「平和でゆんたく〜沖縄の平和を創る取り組みから 沖
縄平和学習マップを作ろう〜」
(2)22期(Active Citizen養成講座)
①2016年6月25日(東京女子大学)「Active Citizen養成講座──対話を通じて住みた
い社会をつくる」
②2016年10月23日(明星大学)「レイシズムにさよならする方法: 防止マニュアル作りを通じてレイシズムを考える」
③2017年7月1日(北海道大学)「ロールプレイを通じて考える、植民地・先住民・同化、そして平和への権利」
④2017年11月25日(香川大学)「平和のためのリテラシー」
(3)23期(トレーナーズトレーニング やり⇔とり力を育てる)
①2018年6月23日(東京大学)「トレーナーズトレーニング やり⇔とり力を育てる:『国家・祖国・ネイション』をめぐって」[ 授業に使えるパッケージ ]
(4)学会外での活動
3.平和教育への平和学的アプローチ
村上は、平和教育への研究アプローチとして、教育学的アプローチ、社会学的アプローチ、平和学的アプローチの三つを挙げている。教育学的アプローチは、従来行われてきた研究で、「平和教育はいかにあるべきかの理念と、どのように実践すればよいのかの手段や方法を提示しようと」し、社会学的アプローチは、村上の研究に代表されるように、「平和教育が社会的事実としていかにあるかの実態や、平和教育の展開過程にどのような因果関係が働いているかの法則を説明し」、平和学的アプローチは、「平和教育が、平和な社会の形成に対して、どのように貢献することができるのかの方法を提示しようとする」「教育を通じて平和な社会を形成する方法を明らかにするとともに、その方法により平和的関係を実際に作り出し、平和教育の成果を示すことを目指す」
村上登司文 [2009],『戦後日本の平和教育の社会学的研究』学術出版会。15-17頁
4.平和教育プロジェクト委員会の実践の理論化に向けての始めの一歩
- 包括的平和教育(平和の文化)/豊かで膨大な実践、研究が積み重ねられてきた日本の伝統的な平和教育/人権教育、国際理解教育、開発教育など隣接教育/ワークショップ/アクティブラーニング
- ワークショップ後の「客観評価」「改善」「振り返り」
- 学校教育における小中学校の道徳、高校の公共での活用、また学校や地域で平和教育を推進する平和のための博物館(歴史博物館や美術館、平和センターなどを含む)、平和資料館での活用