編集委員:孫 占坤・齋藤民徒
特集テーマ:国境を越えて移動する人々の人権保障
企画趣旨:
今日、交通・通信手段の発達や経済・社会のグローバル化、更にEUやASEANのような地域統合の進展などを受けて、近代国民国家の垣根が急速に低くなっているように見受けられる。そこでは国境を越えた移動が人々にとって益々重要となり、国際的にも国内的にも様々な権利保障制度が整備されてきた。
その他方、近年、米国・メキシコ国境で試みられている壁の建設をはじめ、欧州各地の移民・難民受け入れへの激しい反発、中東における「分離壁」の建設などに象徴されるように、国境を超える移動への逆風も深刻化する様相を呈している。
現代世界に見られるこのように相反する動きは、日本にとっても決して他人事ではない。近年、大量の外国人が日本を訪れ、日本社会が急速に「国際化」する一方、難民は勿論、外国人労働者の受け入れにも目立った進展は見られない。そこでは、法律や経済といった既存の制度的枠組のみならず、「単一民族」という長年日本社会を覆ってきた「精神構造」も問われているかもしれない。
このような状況をふまえ、本号では、「国境を越えて移動する人々の人権保障」を考察の主題に据える。ここでの「国境」には、現代世界の実情を反映し、国家間の境界に限定することなく、例えばイスラエルが建設した「分離壁」によって二重・三重に分断されたパレスチナ民衆の戦いや、内戦状態における停戦ラインからの脱出なども含めて考える。同じく、「人々」については、多種多様な人々が当然含まれるが、シリア難民やロマ、クルド民族、ロヒンギャ族など、国民国家やその国境によって翻弄されている様々な先住民族や難民・避難民たちにより重きを置きたい。更に、「人権保障」に対する考察の視点としても、国際法ないし難民法、出入国管理法制などの国内法といった法学的考察に限ることなく、ジェンダー研究や人類学、経済学など複数の学問分野から横断的に捉え、今日の国際人権保障システムの成果と限界とを明らかにし、日本を含む国際社会のより良い人権保障制度の構築を展望していきたいと考えている。
<投稿呼びかけ文>
2018年9月1日
『平和研究』編集委員会
ついては、この特集テーマに関わる投稿文を募集します。ふるってご応募下さい。 また、この特集テーマ以外にも、平和研究の発展に貢献する論文であれば、「自由投稿」の枠で投稿を受け付け、査読の対象といたします。
投稿された論文は査読のうえ、編集委員会が最終的な掲載の可否を決定いたします。
投稿書式:
完成原稿提出の際に確認されるべき投稿書式については、「日本平和学会『平和研究』投稿論文執筆要領」に準拠ください。字数上限は1万6000字です。
ワードもしくはテキスト形式でお送りください。
投稿資格:
「日本平和学会『平和研究』投稿規程」を御確認下さい。
投稿の申し込み締切:2018年11月1日(木)
投稿申込み方法:
(1)論文仮題、(2)要約(1500字程度)、(3)希望する投稿枠(「特集」あるいは「自由投稿」)、(4)住所・携帯電話番号・メールアドレスを、下記の応募先までe-mailにてお送りください。なお、申込みの際には、受領の確認メールを返信いたしますので、万一、一週間以内に返信ない場合、再度ご連絡ください。
応募先:
『平和研究』第53号編集担当者:孫占坤(明治学院大学)、斎藤民徒(金城学院大学)
heiwa53toukou(a)gmail.com((a)は、“@”におきかえてください。)
投稿完成原稿提出締切:2019年2月1日(金)