編集委員:阿知良洋平・前田輪音
特集テーマ:「平和教育」を切り拓く
企画趣旨:
教育は暴力の発現に対して両刃の剣である。一方では、平和の価値や方法を世代や空間を超えて共有する役割を担う。他方では、暴力的な選択を正当化するため、権力的に統制をかける手段として利用することもできる。
このような視点に立つとき、日本は今、改めて教育と社会との関係を問い直さねばならない局面にあると言える。2006年の教育基本法の「改正」で教育の目標が規定され、教科書検定や学習指導要領による介入も一層強化されつつある。現政権の「人づくり革命」も、政府がより直接的に、教育の社会への従属を推し進める性格を持つだろう。いまや学校の教員は、その統制に異議を唱えることすら難しいほど、「教育の中立性」の名のもとにその職務を制約されている。こうした統制は決して学校にとどまるものではない。
しかし、教育は社会が進む方向を支えるのみならず、それを批判的に検討し、社会が暴力の方向に進もうものならそれに異議を唱え、そして現実の読み解きのなかから平和な未来を描く力をもっているものではないだろうか。直接にその躍動的な力を感じ取るのは難しい現状かもしれないが、そのような営みは生まれているはずであるし、営みが見えにくいとすれば、それを捉える枠組みの問題があるかもしれない。
そこで、本号では、教育が平和をつくる可能性を検討し、そこからこれまでの「平和教育」について、定義を含め、その内容・方法を捉えなおし、かつ発展させていくような論文を募集したい。この場合の「教育」とは学校教育にとどまらず、かつ、専門も「教育学」のみに閉じたものではないことを、強調しておきたい。また、学習者年齢も、幼児期から高校生、大学生、社会人まで、多様に想定することができる。
教育から新たな平和の未来をつくりだす可能性は、どんな切り口からなら見出せるのだろうか?学会員のみなさまの力を借りて、その手がかりを集め、教育に可能性を見出す枠組みを掴みたい。
<投稿呼びかけ文>
ついては、この特集テーマに関わる投稿論文を募集します。ふるってご応募下さい。また、この特集テーマ以外にも、平和研究の発展に貢献する論文であれば、「自由投稿」の枠で投稿を受け付け、査読の対象といたします。投稿された論文は査読のうえ、編集委員会が最終的な掲載の可否を決定いたします。
2018年5月1日
『平和研究』編集委員会
投稿書式:
完成原稿提出の際に確認されるべき投稿書式については、「日本平和学会『平和研究』投稿論文執筆要領」に準拠ください。字数上限は1万6000字です。
ワードもしくはテキスト形式でお送りください。
投稿の申し込み締切:2018年6月20日(水)
投稿申込み方法:
(1)論文仮題、(2)要約(1500字程度)、(3)希望する投稿枠(「特集」あるいは「自由投稿」)、(4)住所・携帯電話番号・メールアドレスを、下記の応募先までe-mailにてお送りください。なお、申込みの際には、受領の確認メールを返信いたしますので、万一、一週間以内に返信ない場合、再度ご連絡ください。
応募先:
『平和研究』第52号編集担当者:阿知良洋平(室蘭工業大学)、前田輪音(北海道教育大学)
heiwakyouikutoukou(a)gmail.com ((a)は、“@”におきかえてください。)
投稿完成原稿提出締切:2018年9月30日(日)