2015年度 春季研究大会

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2015年度 春季研究大会 広島 開催概要
2015春プログラム.pdf
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*基調 講演者として参加をお願いしていたマーシャル諸島共和国外相トニー・デブルム氏は、不参加となりました。


日程:2015年7月18日(土)  7月19日(日) 連絡事項 分科会
 場所:アステールプラザ(広島市)
 〒730-0812 広島県広島市 中区加古町4−17
 082-244-8000
開催校:広島市立大学広島平和研究所

<7月18日(土)プログラム>
9:30-12:00

自由論題部会

単独報告 

報告:志村真弓(東京大学大学院)

「『保護する責任』論の後退──対シリア介入交渉の場合」
討論:清水奈名子(宇都宮大学)
報告:金城美幸(日本学術振興会)

「歴史が書きかえられるとき──二国家解決の幻想とイスラエル左派の瓦解」
討論:清末愛砂(室蘭工業大学)
報告:谷整二(広島大学文書館)

「井伏鱒二著『黒い雨』調査報告」
討論:藤田明史(立命館大学)
司会:清水奈名子(宇都宮大学)

パッケージ企画1 
「日本の原発輸出計画と輸入側社会への影響――アジアの事例を中心に」
報告:鈴木真奈美(明治大学大学院)

「日米共同の最初の原子炉輸出例である台湾第四原発とその現状」
報告:佐伯奈津子(名古屋学院大学)

「インドネシアの原発計画と日本のエネルギー安全保障」
報告:吉井美知子(沖縄大学)

「ベトナムにおける原発立地地元先住民族への差別と人権」
討論:西川潤(早稲田大学)
司会:米川正子(立教大学)

パッケージ企画2
「CSCEの40年──ヒロシマから問うヘルシンキ」
報告:佐渡紀子(広島修道大学)

「相互不信と安全保障の強化──OSCEにおける軍事的アプローチに着目して」
報告:宮脇昇(立命館大学)

「平和と民主主義の調和への困難な道程──ヘルシンキ・ウランバートル・ヒロシマ」(仮)
報告:玉井雅隆(立命館大学)

「マイノリティからみたヘルシンキ・プロセス」
討論:吉川元(広島市立大学広島平和研究所)
討論:坪内淳(聖心女子大学)
司会:首藤もと子(筑波大学)

12:00-12:30 昼休み


12:30-14:30 分科会

・韓国平和研究学会との共同のセッション

 Japan's Role on the Reunification of Korea  Kim Dong Kyu

 Pyeong-Eok An

 Kathy R. Matsui

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 Session_1,_Matsui_s_abstract_7-18


14:40-15:20 総会

15:30-18:00 
部会1「核被害の視点から反核を考える」(開催校企画)──市民に公開する部会
核の非人道性に関する国際会議が、2013年3月にノルウェー、2014年2月にメキシコで、そしてこの12月にオーストリアで開催された。いずれもホスト国は非核保有国であり、非核保有国や核廃絶をもとめるNGOが、核兵器禁止条約に向けての活発な議論を主導している。メキシコでの会議では被爆者の証言が大きな反響を呼んだ。また、2014年4月、マーシャル諸島共和国は、核保有国9カ国をハーグの国際司法裁判所に提訴した。提訴にあたって、マーシャル諸島共和国のトニー・デブルム外相は、「私たちは、これらの兵器によって悲劇的で取り返しのつかない被害をうけました。私たちは、このような残虐行為を地球上の誰も決して経験することのないよう、たたかうことを誓います」と述べている。
核保有国の論理の下での限定的で形式的な核軍縮論ではなく、実際に核による被災にあう側からの切実な核廃絶を求める声こそが、強力な流れとなるべきである。本部会は、そうした流れをつくり出すことを目的としている。

趣旨説明:高橋博子(広島市立大学広島平和研究所)
*基調 講演者として参加をお願いしていたマーシャル諸島共和国外相トニー・デブルム氏は、不参加となりました。

トニー・デブルム(マーシャル諸島共和国外務大臣)

核の非人道性に関する国際会議 ウィーン会議演説(音声)

紹介・解説:竹峰誠一郎(明星大学)

討論:佐々木猛也(弁護士、日本反核法律家協会会長)

討論:太田育子(広島市立大学)

討論:小溝泰義(広島平和文化センター理事長)

司会:川崎哲(国際NGOピー スボート共同代表、核兵器廃絶国際キャンペーン(ICAN)国際運営委員)


18:30-20:30 懇親会

会場:広島市文化交流会館(アステールプラザの隣) 銀河

7月19日(日)プログラム>
9:20-11:50 
部会2「平和主義とは何を意味するのか」
「積極的平和主義」を掲げ、日本版NSCの設置、武器輸出の解禁、秘密保護法の制定、そして、立憲主義を踏みにじって強行された集団的自衛権に関する憲法解釈の変更とひたすら戦争への道をひた走る安倍政権。その裏では歴史認識をめぐり近隣諸国との軋轢をみずから煽り立てつつ、それを隣国の軍事的脅威論に転化する。靖国参拝によりみずからが「積極的平和主義」のパートナーとする米国までが「失望」した。これがどういう意味で「平和主義」なのだろうか。本部会は、そのような状況を視野におさめつつ、改めていま、平和主義の概念を理論的に整理し、その現代的意味とレレバンシーを再考することを目的とする。
報告 : 松元雅和 (関西大学)

「平和(優先)主義の再定義──絶対平和主義および正戦論との関係から」
報告:篠田英朗 (東京外国語大学)

「現代国際社会の平和主義」
報告:片野淳彦 (札幌大学)

「キリスト教平和主義の再定位──抑止と殉教を手がかりとして」
討論:秋林こずえ(同志社大学)
司会:萩原能久(慶應義塾大学)

部会3「復興と平和──被爆地と3.11被災地を結んで」(「3.11」プロジェクト委員会企画)
「経済的利益>生命」志向の浸透は、大地震とも重なり、「文明災」とも呼ばれる「3.11」を引き起こした。なかでも原発被災により、地震や津波で破壊された地域に、復興の阻害要因となる放射性物質が大量に拡散した。放射線の分布やそれに対するリスク評価も分かれるが、放射線問題は地域やその人間関係にダメージを与え続けている。これにより、被災地内部の復興格差が拡大している。また既存の復興のあり方からも、被災地の内と外での格差、すなわち既存の都市と地方との間の格差は再生産されているともいえる。問題はまさに重層的である。そのような中で、被災者、支援者、研究者、行政関係者たちは、それぞれの立場でたいへん苦しい状況にある。本部会は、研究者だけでなく、被災者や支援者、そして行政や政治に近い活動をしてきた当事者意識のある人々を報告者および討論者として招いて、被爆地広島における復興もみすえながら、福島を中心とした原発被災地の復興を議論し、今後の当事者意識をもった市民的な判断と行動に資することを目指す。
報告:大橋正明(聖心女子大学)

「原発災害を巡る国際的災害枠組み:兵庫行動枠組(HFA)から仙台防災枠組(SFDRR)への変容と課題」
報告:東琢磨(ライター、ヒロシマ平和映画祭実行委員会事務局長)

「ヒロシマの復興と3.11」
報告:鴫原敦子(環境平和研究会共同代表)

「3.11と「復興」:不可視化される被ばく被害」
討論:桐谷多恵子(広島市立大学)
討論:平井朗(立教大学)
司会:蓮井誠一郎(茨城大学)

11:50-12:10 昼休み


12:10-14:10
分科会
・韓国平和研究学会との共同のセッション

 Japan's Role on the Reunification of Korea  Kim Dong Kyu

 Pyeong-Eok An

 Kathy R. Matsui

 Session_2,_Ataka_s_abstract_7-19

 Session_2,_Yoon_s_abstract_7-19

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14:20-15:20 
戦後70年記念講演──市民に公開する
孫歌氏(中国社会科学院文学研究所)
「東アジアの民衆はつながることができるのか──戦後70年目の問いかけ」
孫歌さんプロフィール:
1955年、中国吉林省長春市生まれ。吉林大学中国文学部卒業。東京都立大学で政治学博士号取得。現在、中国社会科学院文学研究所研究員。「日中・知の共同体プロジェクト」、Inter-Asia Cultural Studies編集委員、Inter-Asia School常務理事。
中国文学、比較文学の研究者として出発したが、その後日本思想史の研究を深め、竹内好、丸山眞男ら日本の思想家、研究者の思惟への共感や沈潜とも連動しつつ、より広く現代の中国や日本にとってのアジアないし東アジアといった問題系への真摯な批判的考察を展開している。日本語の著作として、『アジアを語ることのジレンマ──知の共同空間を求めて』(岩波書店、2002年)、『竹内好という問い』(岩波書店、2005年)、『歴史の交差点に立って』(日本経済評論社、2008年)、「公民の政治学──中国における市民社会と公民社会」大賀哲編『北東アジアの市民社会──投企と紐帯』(国際書院、2013年)所収、『北京便り──中国の真の面影』(岩波書店、2015年)等がある。

15:30-18:00 
部会4「戦争の記憶をいかに継承するか」──市民に公開する部会
戦後70年、戦争や暴力の記憶の継承の重要性・必要性に異を唱える人はいないだろう。では、私たちは、何を、どのように記憶し、伝えるのか。誰の証言をどのように聞くのか。語りえぬもの、記憶しえないもの、はどう語られ、記憶されるのか?
本部会では、『<歴史認識>論争』や『靖国問題』『証言のポリティクス』『記憶のエチカ』といった著作のある哲学者・高橋哲哉氏と、東京裁判の社会的インパクトについて論考のある二村まどか氏、NHKチーフ・ディレクターで、NHKスペシャル『チョウ・ムンサンの遺書/シンガポールBC級戦犯裁判』(91・アジア国際映像祭優秀賞)、ETV特集『アウシュヴィッツ証言者はなぜ自殺したか/作家プリーモ・レーヴィへの旅』(03・ギャラクシー賞年間グランプリ)、『日中戦争~なぜ戦争は拡大したか~』(06・文化庁芸術祭大賞)、『記憶の遺産~アウシュビッツ・ヒロシマからのメッセージ~』(08・石橋湛山記念ジャーナリズム大賞)などの作品を制作してきた鎌倉英也氏を招き、戦争・暴力の記憶の継承について議論する。

報告:高橋哲哉(東京大学)

「『赦し』は可能か──戦争の記憶をめぐって」(仮)
報告:二村まどか(法政大学)

「戦争の記憶と国際刑事裁判──東京裁判が残したもの」
報告:鎌倉英也(NHKチーフ・ディレクター)

「『記憶の遺産』が問う現在――プリーモ・レーヴィと原民喜の言葉を手がかりとして」
司会・討論:長有紀枝(立教大学)

「ヒロシマをめぐる<コンフリクト>」ワークショップ
(主催:日本平和学会 平和教育プロジェクト委員会、後援:平和教育地球キャンペーン中四国支部、NPO法人ART Peace)
日時:2015年7月19日(日)12:10-14:10
用いる手法:

1.コンフリクト分析(マッピング)の手法

2.表現芸術セラピーの手法

3.紛争転換の手法
ファシリテーター:ロニー・アレキサンダー、笠井綾、奥本京子
平和教育や被ばく体験の継承をめぐる過渡期ともいわれる現在の広島において、「ヒロシマ」をめぐるさまざまな課題に、クリエイティブで楽しい、しかし、正面からガツンと取り組むワークショップを企画しました。広島という地域性、いろいろな人たちによる「期待」の温度差、世代間の理解・知識の差、広島の内と外の差、教育現場におけるジレンマ、学校と行政の協力・せめぎ合いなどの、いろいろな<コンフリクト(葛藤・対立・紛争)>を扱ってみましょう。また、ワークショップの時空間を通して、平和を創造しようとする個人・団体どうしの交流を進め、現場の教師や、平和活動家、学生や研究者、アーティストなどさまざまな人たちの思いを共有し、相互にケアできる場としたいと願っています。
*お知らせ:子ども連れのご参加を歓迎します。ただし、参加者みんなでお子さんと関わり合うことになりますので、ご了承ください。

開催校企画エクスカーション  アートパフォーマンス「黒い雨」
(協賛:平和と芸術分科会、グローバル・ヒバクシャ分科会:一般公開、入場無料)
会場: アステールプラザ中ホール (すべてのプログラム終了後)
日時: 7月19日(日) 19:00-20:00 
被爆70周年を迎える今年、広島県「黒い雨」原爆被爆者の会連絡協議会は、援護対象地域拡大を求めて集団訴訟を準備している。黒い雨による内部被曝を日本政府は今日まで認めていない。身体の不調、数々の疾病、絶え間ない不安、理解されないゆえの差別、それらと闘いまた受け入れてきた人生、そのすべてが被曝との因果関係を断たれることで宙吊りにされる。そして今、未認定被曝者は最後の力を振り絞り、自らの存在を賭け、私たちの未来のために立ち上がろうとしている。
本公演では表現者が被曝者にそれぞれのスタイルで向き合う。文字でもなく、語りでもなく、身体により、花により、音により、その勇気と愛に満ちた人生を祝福し、存在に喜びをもって応答する。
出演者:大槻オサム・国本文平・Philippe CHEHERE・清水章代・羽鳥智裕

 

国際シンポジウムのお知らせ
日本平和学会の翌日、広島市立大学・中国新聞社・長崎大学核兵器廃絶研究センター主催の国際シンポジウムを開催します。こちらもどうぞご参加ください。
タイトル:被爆70年――核兵器廃絶と被爆体験の継承を考える
 開催日時:平成27年7月20日(月・祝)13:00~17:00(開場12:30)
場所:広島国際会議場地下2階ヒマワリ(広島市中区中島町1番5号 平和記念公園内)その他:先着450人、入場無料、事前申込不要
主催:広島市立大学・中国新聞社・長崎大学核兵器廃絶研究センター