24.防衛装備移転3原則、安保法制、ODAの軍事化--いわゆる3本の矢--について説明してください

 日本政府は集団的自衛権の行使解禁と並んで、武器輸出の解禁とODA(政府開発援助)大綱の見直しを「積極的平和主義」の「3本の矢」と位置づけています。

 2013年12月の国家安全保障戦略は、日本が今後「防衛装備品等の共同開発・生産等に参画する」ことをうたい、ODA事業を「戦略的に活用」していくとしています。

 日本は1967年に武器輸出三原則を確立し、武器輸出を一般的に「慎む」という基本政策をとってきまし。しかし1980年代から対米技術供与が認められるようになり、2000年代に入ると米国とのミサイル防衛協力が例外化され、2011年には民主党政権の下で、武器の国際的な共同開発を認める大幅な緩和が決定されました。

 そして安倍政権下の2014年3月、武器輸出三原則はついに撤廃され、新たな防衛移転装備三原則によって置き換えられました。これまでは「輸出しないのが原則」でしたが今後は「輸出できるのが原則」となり、その上で「適正管理」などが定められたのです。

 武器輸出解禁を強く求めてきたのは経済界です。日本経団連は、欧米では防衛産業の再編が進んでいるのに対し、日本の防衛産業は市場が国内に限定されたままでは立ちゆかない、武器の国際共同開発と生産に乗り遅れてはいけないとして政府に要請をしてきました。

 ODAに関して安倍政権は、2015年2月にこれまでのODA大綱に置き換わる新たな開発協力大綱を閣議決定しました。これまで日本のODAは「軍事的用途および国際紛争助長への使用を回避する」という観点から、非軍事分野であったとしても他国軍には使わないことを原則としてきました。それが転換され、災害救助などの「非軍事的な目的」に限っては、他国軍への支援が可能となったのです。

 日本はすでにフィリピンに対してODAによる巡視船10隻の供与を決めており、ベトナムに対しても同様の動きを見せています。両国とも、南シナ海で中国と領有権問題を抱え対峙する国々であり、中国を牽制する「戦略的」活用の意図は明らかです。

 2015年4月の日米ガイドライン改定にあたって米国は、歓迎すべき日本の「最近の重要な成果」として、集団的自衛権の行使容認の決定と並んで、防衛装備移転三原則と開発協力大綱を挙げています。日本の部隊、武器、技術が米軍の大きな戦略の中に組み込まれる流れができているといえます。(川崎 哲)

 

参考文献

2013年5月14日、日本経済団体連合会「防衛計画の大綱に向けた提言」

http://www.keidanren.or.jp/policy/2013/047.html 

2015年2月10日、朝日新聞「ODA、他国軍支援を解禁 新大綱を閣議決定 非軍事限定」

http://www.asahi.com/articles/DA3S11595277.html