日本平和学会2013年度秋季研究集会
(日本平和学会設立40周年記念集会)
2013年11月9日(土)~10日(日)
明治学院大学白金キャンパス(http://www.meijigakuin.ac.jp/campus/shirokane/)
連絡先:開催校担当理事:浪岡新太郎
電話:03-5421-5652 FAX: 03-5421-5653
Email:peace13(a)prime.meijigakuin.ac.jp
分科会のプログラムはこちら(←クリック)からご覧ください。
開催趣旨
平和学会設立40周年の節目の時を迎えている。絶えず揺動する同時代の文脈に身を置きながら、平和研究は、平和の意味を批判的に考察し、社会正義の実現に向けて平和の構想を提示することに努めてきた。
平和への挑戦は現在の内外の状況にあってかつてないほどの深刻さを帯びている。平和学会が一貫して取り組んできた核をめぐる問題は、核兵器のますますの拡散と同時に、いっこうに収束しないフクシマの事態を通じて私たちの眼前に恬然とそそりたっている。オリンピック招致にあたり日本国首相が広言した希望的言辞をいくら重ねようとも、未曾有の原発事故がもたらす現在進行形の事態はそこに変わらずにある。
また、米軍の軍事的利害を随伴して遂行される沖縄の植民地的主義的支配は、臨界点を越えた不正義を沖縄の人びとに強いることにより、日本国からの独立を本格的に促す議論と運動をもたらすまでになっている。こうした構造的暴力を除去する法的拠り所となるべき日本国憲法は、沖縄との関係にあって立憲主義・平和主義の理念を実現できないままに、今般、国家主義的相貌を湛えた自民党憲法改正草案によって、その誇るべき規範的形姿を破壊されようとしている。集団的自衛権の公認により、日本の軍事力が世界全域に展開されていくおそれすら生じている。
近隣諸国との外交関係も稀にみる冷え込みを見せている。朝鮮民主主義人民共和国との関係は依然として非正常・不安定なままであり、韓国との間でも歴史認識を起点とした紛争が幾重にも顕在化している。中国とも一触即発の事態が続き、重大な事態に立ち至りかねない緊迫した状態が日々続いている。
いまほど平和研究や平和運動にかかわる者の社会的責任が問われているときはないのではないか。私たちは、いっそう冷徹な精神をもって現実に分け入り、平和の文化に支えられた知の力と実践の力を社会に発信していかなくてはならない。40周年を迎えた本年の秋季研究集会は、祝祭の時である以上に、そのことを改めて心に刻む好個の機会でもある。
(日本平和学会第20期会長 阿部浩己)
プログラム
11月9日(土)
午前の部 9:00-11:30
<部会1(分科会企画) / 自由論題部会①(単独報告)>
○部会1(「グローバルヒバクシャ」分科会・「環境・平和」分科会共同企画)
「放射線被曝の歴史を今に問う――福島第一原発事故を見据えて」
報告:高橋博子(広島市立大学)
「マンハッタン計画・米原子力委員会・ABCCにみる放射線人体影響研究」
報告:豊崎博光(フリー・フォトジャーナリスト)
「3・1と3・11――放射線被ばく被害の実相と現状」
報告:湯浅正恵(広島市立大学)
「ヒロシマ・ナガサキとフクシマをつなぐ科学言説の陥穽」
討論:藍原寛子(Japan Perspective News(株)代表取締役、福島大学)
司会:鴫原敦子(仙台高専)
○自由論題部会①(単独報告)
報告:中村長史(東京大学大学院)
「人道的介入の条件――<領域国の同意確保過程>と<介入の意思決定過程>に着目して」
報告:齋藤百合子(明治学院大学)
「日本における人身取引対策の批判的検討――被害者認知と支援の課題」
報告:Aastha Ranabhat (Kobe University)
討論:清水奈名子(宇都宮大学)、高松香奈(国際基督教大学)
司会:君島東彦(立命館大学)
<昼休み 11:30-12:00>
午後の部
<分科会(詳細はこちら(←クリック)を参照)12:00-14:00>
<総会 14:10-14:40>
<平和賞・平和研究奨励賞授賞式 14:50-15:40>
【平和賞】
安斎育郎(安斎科学・平和事務所所長/立命館大学国際平和ミュージアム名誉館長)
アクティブ・ミュージアム「女たちの戦争と平和資料館」
【平和研究奨励賞】
勅使川原香世子(三重大学)
林公則(都留文科大学)
<部会2(執行部企画)/ 部会3(開催校企画) 15:50-18:20>
○部会2(執行部企画)
「平和学と平和博物館――連携・協力の可能性と展望」
報告:安斎育郎(安斎科学・平和事務所所長/立命館大学国際平和ミュージアム名誉館長)
「日本平和学会と平和博物館の連携の可能性」
報告:暉峻僚三(川崎市平和館専門調査員)
「川崎市平和館『企画展Plus Three』における連携型企画――ハコものとしての平和啓発施設のこれから」
討論:福島在行(平和博物館研究者)
司会:村上登司文(京都教育大学)
○部会3(開催校企画)「資源と非暴力-アフリカ人研究者の視点」
報告:ムブリ・チャールズ・ボリコ(国際連合食糧農業機関日本事務所所長)
津川直子(明治学院大学国際平和研究所研究員)
司会・討論:勝俣誠(明治学院大学国際平和研究所/国際学部)
<懇親会 18:40-20:40>
11月10日(日)
午前の部 9:30-12:00
<部会4(分科会企画)/ 自由論題部会(パッケージ企画)/ 自由論題部会②(単独報告)>
○部会4(「平和運動」分科会・「琉球・沖縄・島嶼国および地域の平和」分科会共同企画)
「日本の自立と沖縄の独立」
報告:川内博史(前衆議院議員)
「終わらない占領-在沖縄海兵隊再編の真実-」
報告:前泊博酒(沖縄国際大学)「日米地位協定にみる日米関係-終わらない“占領”」
報告:松島泰勝(龍谷大学)
「琉球の独立と平和―ナショナル・マイノリティによる脱植民地化運動の思想と実践―」
討論:石川捷治(久留米大学)
討論:高野孟(インサイダー編集長)
司会:木村朗(鹿児島大学)
○自由論題部会(パッケージ企画)
「フクシマ後の核・軍縮問題――“放射性廃棄物”問題を焦点として」(趣旨)
報告:川崎哲(ピースボート共同代表)
問題―日本の課題―」
報告:嘉指信雄(神戸大学)
「核時代の影としての劣化ウラン弾」
討論:湯浅一郎(ピースデポ代表)
司会:中村桂子(長崎大学・核兵器廃絶研究センター)
○自由論題部会②(単独報告)
報告:村本邦子(立命館大学)、村川治彦(関西大学)、小田博志(北海道大学)
「暴力の世代間連鎖を断ち切る――日本・中国の戦後世代による「和解」ワークショップの試みから」
報告:名嘉憲夫(東洋英和女学院大学)
「領土問題から「国境画定問題」へ――紛争解決論の視点から見た尖閣、竹島、北方四島」
討論:首藤もと子(筑波大学)
司会:岡野内正(法政大学)
<昼休み 12:00-12:30>
午後の部
<40周年記念講演 12:30-13:10>
○40周年記念講演 坂本義和(東京大学名誉教授)「”いのち”を生かす、たたかいの研究」
<分科会(詳細はこちら(←クリック)を参照)13:20-15:20>